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今日も今日とて仕事。
私はケーキ屋でパティシエとして働いている。
夢なんてなかった高校生の私が、たまたま友達に連れられて来たこのお店でシュークリームを食べたとき、本当に本当に感動した。
それからパティシエになってこのお店で働くって言い続け、念願叶って短大卒業後からここで働いている。

3年目になるけど、最近は新作の提案もほぼ任されているし、やりがいがあってとても楽しい。
今日は平日ということもあって、お昼はお客さんの足が少ない。
だから次の新作の試作を作ったりしている。
新作タルトの上に乗せるフルーツを考えていると、少し遠くでいらっしゃいませ、という声が聞こえた。
その声の主は接客とレジを担当しているバイトの女の子。
お店の構造上、ショーケースの奥にあるキッチンはガラス越しでお客さんから見えるようになっている。また逆も然り。
まだ午前中なのに珍しいな、なんて思いながらガラス越しに店内の方を見ると、そこにはよく見知った姿が見えた。


A「え、」


その人は真顔で合ってしまった私の目を見つめてくる。
ああ、今はあまり会いたくなかったかもしれない。
というか、どんな顔をすればいいかわからない。


「知り合い?」

A「えっ、と、まあ…」


隣で声をかけてくれた先輩に覚束ない返事をすると、行っておいでと優しく肩を叩かれた。
バイトの子がいるときは基本的に接客はしない。
でも知り合いが来てくれた場合は別。
彼がこのお店を知る術はたくさんある。
でもなんでこのタイミングで…?


A「いらっしゃいませ。」


そう言って軽くお辞儀をする。
バイトさんは何かを察したように一礼してスタッフルームへと入っていった。


うらた「なんで無視してんの?」


どのようなお菓子をお求めですか?と声をかけようとしたとき。
私の顔を見つめたままの幼馴染の彼は、表情を変えずにそう一言。
まあ、そうだよね。

渉くんのライブが終わって1週間近く経つ今日。
ライブの次の日には渉くんから、「仕事が落ち着いたから今度ご飯に行こう」というメッセージが来た。
だけど私は、なんと返せばいいのか分からなくて、今日まで返さずにいてしまったんだ。

自分の中で整理がつかなくて、この感情が分からなくて。
私なんかのただの一般人がステージの上であんなに輝いてる人の近くにいていいのかって。
一緒に歩いているところをファンに見られて炎上とかしたらどうするのって。
だけど断ることもできなくて。
そんな自分に混乱してしまっていた。

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設定タグ:歌い手 , USSS , 幼なじみ   
作品ジャンル:恋愛
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飴玉(プロフ) - 続き気になります!応援してます! (2019年12月7日 0時) (レス) id: 8c5a0e2b14 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 、さん» 設定を誤っておりました。申し訳ございません。修正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 4b7f932ad4 (このIDを非表示/違反報告)
- オリジナルフラグというものをちゃんと外して下さい (2019年11月30日 21時) (レス) id: da04285dd4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のの | 作成日時:2019年11月30日 20時

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