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そんなことない、なんてありきたりの言葉は言えなくて。
嘘が苦手な彼には、きっと、上辺の言葉なんてばれてしまう。
最初から上辺の言葉なんて言うつもりもないけれど。
A「坂田くんは、かっこいいよ。」
小さい頃から、悩んでいたり落ち込んでいたら励ましてくれる坂田くんは、私にとってヒーローみたいな存在だった。
『A、大丈夫やから。』
『俺がおるやん!』
『Aはえらいで。』
いつだって私の味方でいてくれる彼は、本当に強くて暖かい、そんな人。
私の中の坂田くんは、ずっとずっと誰よりかっこよかった。
坂田「それは、、Aの前ではかっこつけとるから、」
俯いたままの彼がこぼす言葉から感じられるのは、弱気。
そういえば、坂田くんが私の前で弱い姿を見せることはほとんどなかったかもしれない。
思い返せば、そうだ。
彼の言う“かっこつけてる”というのは、そういうことなんだろうか。
坂田「Aにはかっこいいとこしか見られたないねん。」
なんとなく彼が言いたいことが分かってきたような気がする。
彼にとってライブで見せている、明るくて楽しそうな坂田くんはかっこよくなくて、それを私に見られるのが嫌で、なぜなら、私の前ではかっこよくいたいから。
まとめるならきっとそういうことで、そんな中私の頭に浮かぶのはひとつだけ。
A「それはさ、どうして?」
坂田くんがかっこいいかかっこよくないか、なんてことはどうでもよくて。
いや、さっきも言ったように、私にとってはかっこいいのだけど、彼がどう思っているかは今は正直どうでもよくて。
じゃあその裏にある気持ちはなんなのかって、それが気になってしまう。
坂田「そんなん、、分からん?」
A「わかんない、かなぁ、」
言い淀んだかと思えば、返される問い。
分かる気はする。
だけど確信はないと自分に言い訳をして、ゆっくりと返事をした。
小さく笑った私を見て、つられたように笑う彼。
坂田「せやな、うん。言うわ、」
そして、仕方ないとでも言うように、小さく息を吐いた。
こんなにまじまじと横顔を見たのはいつぶりだろう。
少しだけ、心拍数が上がっているような気がするのは、この不思議な緊張感のせい。
坂田「俺、Aが好きやってん。ずっとな、」
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飴玉(プロフ) - 続き気になります!応援してます! (2019年12月7日 0時) (レス) id: 8c5a0e2b14 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 、さん» 設定を誤っておりました。申し訳ございません。修正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 4b7f932ad4 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグというものをちゃんと外して下さい (2019年11月30日 21時) (レス) id: da04285dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2019年11月30日 20時