検索窓
今日:24 hit、昨日:25 hit、合計:121,103 hit

ページ ページ35

そんなことない、なんてありきたりの言葉は言えなくて。
嘘が苦手な彼には、きっと、上辺の言葉なんてばれてしまう。
最初から上辺の言葉なんて言うつもりもないけれど。


A「坂田くんは、かっこいいよ。」


小さい頃から、悩んでいたり落ち込んでいたら励ましてくれる坂田くんは、私にとってヒーローみたいな存在だった。

『A、大丈夫やから。』

『俺がおるやん!』

『Aはえらいで。』

いつだって私の味方でいてくれる彼は、本当に強くて暖かい、そんな人。
私の中の坂田くんは、ずっとずっと誰よりかっこよかった。


坂田「それは、、Aの前ではかっこつけとるから、」


俯いたままの彼がこぼす言葉から感じられるのは、弱気。
そういえば、坂田くんが私の前で弱い姿を見せることはほとんどなかったかもしれない。
思い返せば、そうだ。
彼の言う“かっこつけてる”というのは、そういうことなんだろうか。


坂田「Aにはかっこいいとこしか見られたないねん。」


なんとなく彼が言いたいことが分かってきたような気がする。
彼にとってライブで見せている、明るくて楽しそうな坂田くんはかっこよくなくて、それを私に見られるのが嫌で、なぜなら、私の前ではかっこよくいたいから。
まとめるならきっとそういうことで、そんな中私の頭に浮かぶのはひとつだけ。


A「それはさ、どうして?」


坂田くんがかっこいいかかっこよくないか、なんてことはどうでもよくて。
いや、さっきも言ったように、私にとってはかっこいいのだけど、彼がどう思っているかは今は正直どうでもよくて。
じゃあその裏にある気持ちはなんなのかって、それが気になってしまう。


坂田「そんなん、、分からん?」

A「わかんない、かなぁ、」


言い淀んだかと思えば、返される問い。
分かる気はする。
だけど確信はないと自分に言い訳をして、ゆっくりと返事をした。
小さく笑った私を見て、つられたように笑う彼。


坂田「せやな、うん。言うわ、」


そして、仕方ないとでも言うように、小さく息を吐いた。
こんなにまじまじと横顔を見たのはいつぶりだろう。
少しだけ、心拍数が上がっているような気がするのは、この不思議な緊張感のせい。


坂田「俺、Aが好きやってん。ずっとな、」

stop→←前ページ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (147 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
553人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , USSS , 幼なじみ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

飴玉(プロフ) - 続き気になります!応援してます! (2019年12月7日 0時) (レス) id: 8c5a0e2b14 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 、さん» 設定を誤っておりました。申し訳ございません。修正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 4b7f932ad4 (このIDを非表示/違反報告)
- オリジナルフラグというものをちゃんと外して下さい (2019年11月30日 21時) (レス) id: da04285dd4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:のの | 作成日時:2019年11月30日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。