検索窓
今日:1 hit、昨日:25 hit、合計:121,080 hit

ページ ページ2

なんで、しか言わなくなった私に彼は理由を淡々と話してくれた。
聞くところによると、渉くんがちょうど出かけようとした時に、うちのお母さんと家の前で会ったらしい。そして「職場に急遽呼ばれてしまった」と焦っていたお母さんから、私に傘を届けるよう頼まれたそうだ。
お母さんは保育所の責任者をやっていて、急遽呼び出されることも珍しくない。
なんていうタイミング、、、


A「えっ、ていうか用事あったんじゃ…?」

うらた「ああ、コンビニ行こうとしてただけ。」

A「うーん、それなら、、余計な手間を取らせてごめんね。」

うらた「まあ暇だったし全然いいけど。」


話しながら駅を出て、先ほど受け取った傘をさす。
持ち手は少しだけ温度を持っていて、、ってなんか変態みたいじゃん。

まさか、またこんな風に喋るなんて、隣を歩くなんて、思ってもいなかったから正直かなり心拍数が上がっている。
小さい頃は毎日のように遊んでたし、私はわっくんわっくんって、渉くんに構ってもらえることが本当に嬉しかった。
だけど、私が中学生になる前くらい、渉くんはもう高校生で、ある日いつも通り学校が終わって渉くんの家に遊びに行った。
渉くんのお母さんは笑顔で迎えてくれて、そのまま渉くんの部屋に入ると、ただ一言、


「もうAとは遊ばねえから。」


だからもう来るな、とか言われてしまって、それ以来遊びに行くことをやめたし、口も聞いていなかった。
元々家族ぐるみで仲がいい私と渉くんの家は、よく一緒にバーベキューや花火をしたり、外食に行ったりしていたけど、そんなイベントに渉くんが来ることもなくなった。
その後は日常で当たり前だったはずの渉くんの存在も、お母さん伝いで勝手に入ってくる渉くん情報や、たまたま部屋の窓から見えた渉くんとか、たまたま家の前で鉢合わせした時とか、ほんのわずかなものになっていった。

少し前を歩く渉くんの背中は昔見たものよりはもちろん大きくて、雰囲気も大人だと感じさせられる。
まだまだお子ちゃまな私より、何倍も大人だ。
しかも、渉くんのお母さんから聞いた話によると、加入しているユニットで武道館ライブをしたりもしているらしい。
詳しくは全然わからないけれど、つまりそれって、有名人ってことでしょ?


うらた「A、ちょっとお茶しよ。」


目の前の背中が止まったかと思うと、振り返って横にある喫茶店を指差す彼。
私がこくりと頷くと、彼は少しだけ嬉しそうに笑った…気がする。

次ページ→←大人になって恋を知る * urt



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (147 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
553人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , USSS , 幼なじみ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

飴玉(プロフ) - 続き気になります!応援してます! (2019年12月7日 0時) (レス) id: 8c5a0e2b14 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 、さん» 設定を誤っておりました。申し訳ございません。修正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 4b7f932ad4 (このIDを非表示/違反報告)
- オリジナルフラグというものをちゃんと外して下さい (2019年11月30日 21時) (レス) id: da04285dd4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:のの | 作成日時:2019年11月30日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。