大人になって恋を知る * urt ページ1
A「…最悪じゃん、」
仕事終わり、電車を降りて改札を出ると土砂降りの雨。
電車に乗る前はこんなに降るなんて思いもしないくらい晴れてたというのに。
電車の中で眠ってしまっていた私は、眼が覚めると最寄駅で、大急ぎで電車を降りたもんだから今の今まで気づきもしなかった。
A「はぁ、、、」
これはにわか雨か…?
それともこれから降り続けるのか…?
天気予報士でもない私が分かるわけもなく、スマホを取り出す。
『駅まで迎えに来てください(´・ω・`)』
見慣れた母とのトークルームに打ち込み、送信する。
すると待っていたと言わんばかりに『オッケー』と書かれた可愛らしいうさぎのスタンプが返ってきた。
私ももういい大人だ。
だから、さほど駅から遠くない家まで走って帰ってもいいし、何なら傘をコンビニで買って帰ってもいいんだけど。
前にそうした時、風邪引くでしょとか、もったいないでしょ、と母に怒られ、そういう時は連絡してと言われてしまった。
甘えられるうちは甘えてほしい、とも言われ、ありがたく甘えさせてもらっている。
まあ、正直未だに実家に住んでいるという時点で甘えている気もするけど。
本当は就職するときに一人暮らしを始めるつもりだったのだけど、3つほど離れている兄は大学生になる頃から一人暮らしをしていて、私まで出て行くと寂しいと言われてしまった。
特に干渉もしてこないし、世間的には優しくて緩い両親なので、実家にいたところでマイナスがあるわけでもない。
だから私も悠々と実家暮らしを続けている。
「…A、」
俯いてスマホをいじっていると、名前を呼ばれた気がして、同時に視界に入る私の傘。
いや、けどやけに低い声だった気がする。
その傘を持つ手の先を辿るように顔を上げた私の顔は、たぶんかなり拍子抜けしてたと思う。
A「え、」
いやいやいや、なんでいるの?
え、あ、別に悪くはないけど、なんで私の傘持って私に話しかけてるの?
なんて頭でぐるぐる考えながら目の前の人物の顔を見つめる。
あ、また髪染めたんだ、とか一瞬呑気に考えちゃったよ。
けど、こんなにちゃんと顔見たのいつぶりか分からないくらい久しぶりかもしれない。
「ん、」
A「…わたる、くん?」
うらた「まあ、」
私に傘を差し出して来たのは確かに、向かいの家に住む、幼馴染の渉くんだった。
幼馴染とはいえ、もう10年以上まともに話してないというのに、なんで…?
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飴玉(プロフ) - 続き気になります!応援してます! (2019年12月7日 0時) (レス) id: 8c5a0e2b14 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 、さん» 設定を誤っておりました。申し訳ございません。修正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 4b7f932ad4 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグというものをちゃんと外して下さい (2019年11月30日 21時) (レス) id: da04285dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2019年11月30日 20時