片思いのふたり〜ネット界のスーパースターとFANTASTICSのパフォーマーは幼なじみだった件〜【澤本夏輝】

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会場を出ようと出口に向かう階段を登っていたのだけど


『うわぁぁぁ…』
割り込みしてくる人が多くて…

サクサク歩きのリナちゃんは
どんどん遠ざかってしまう。

あ、あぁ…
リナちゃん…リナちゃぁぁん泣

人の波に揉まれて
ドンッ！

『あぁ！』

誰かとぶつかって
カバンの中身が飛び出てしまう

｢チッ…｣

ええええええええ？
舌打ちぃ？

治安悪くないですか？泣

『すみません…ごめんなさい…』

通る人通る人に、謝りながら拾う。

最後の最後に大やらかししちゃったよ泣

荷物を拾い終えて

流れに任せて、出口に向かう。

出ちゃえばリナちゃんと会えるよね。

なんて呑気に考えていたのである。



『え？リナちゃんどこ？泣』

Aリナちゃん今どこいる?


リナちゃんにLINEを送ってみたが

全然既読にならないッッッッッ！

ど、ど、どどどうしよう！


動かない方がいいのだろうか…

でも、リナちゃんが必死になって探しているかもしれないし…

どうしたら…

見たところ、はっしー(勝手にはっしー呼び)もいないし

…よし、ここは一か八か
こっちに行ってみよう…

｢こっちにもいないか…｣

未だにLINEが既読にならない…

あ…最初の銅像のとこにいるかもしれない！
と、外に出ようとしたのだが…


歩けど歩けど、壁ばっかで

『え？ここさっきも通ったよな…じゃあこっち？』

別方向に進んでも、まだ壁で
出口の出の字すらないくらい…

もしかして私…や、やっちまった？

絶望的方向音痴なくせに自信持ちすぎた？

どうしよう…
はっしー！どこにいるの〜泣


『ほんとマジでここどこ泣』

あれ…でもここ見覚えある…

…5年前、私が迷いこんだところ…。

はっしーが近くにいるかもしれない！

勢いよく振り返ると

ドンッ！

『…ったぁ…』

多分人とぶつかった…
デ、デジャブ…？



｢すみません。大丈夫ですか？怪我無いですか？｣

『…っ！』

運命は、突然やってくる。



聞き覚えのある声…
ぶつかったその人が誰なのか…私にはわかる…

体が固まって動けない…


そして彼も

｢大丈夫で………って…え…A…？…A…だよ…ね！？｣

私に気づいてしまった。

『…なつ…くん…』

会いたくて仕方なかった…
好きで好きでたまらなかった…

…あぁ、また気持ちが蘇ってくる。
…これ以上好きになったら苦しくなるの､分かってるのに。



気づけば

｢…会いたかった。｣
『…っ！』

私はなつくんに抱きしめられていた。

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