初恋をくれた人 ページ17
❤️🌸
「ばぁうくん」
私が彼の名前を呼べたのは冬ごもりをする前の季節までだった。
「なに?……どした?」
呼ぶと優しく笑って、瞳が柔らかくなる。そんな表情が大好きでつい名前を呼びたくなってしまったの。
「えへへ」
「なんにもないのかよ。もう。なんなの?」
ただ、この幸せの中に居たかった。
🩷🌸
「てるちゃんっ!」
元気な声で呼べばどんなに遠いところに居ても一生懸命手を振ってくれる彼のことが好きだった。
「ごめんね。遅れちゃった」
「数分じゃん!大丈夫!私なんていつも遅れちゃうし……」
「その分可愛くしてくれてるんでしょ?ありがとう」
些細な会話が幸せだった。
🩵🌸
「まひ、とくん……」
初めて恋をした春。あなたの名前を呼ぶのも緊張していたの。きっと、知らないでしょ?
「あ、Aちゃん!おはよう!」
「うん、おはよう」
「今日の課題してきた?難しかったよねー」
誰にでも優しくて。
わかりやすいあなたが好きだった。
あなたが居る学校が好きだったの。
💛🌸
「そまちゃー」
気の抜けた声でそういえば両手を広げて迎え入れてくれるあなたの腕の中が好きだった。
「よしよしよし〜。今日も頑張ったじゃん」
「でしょ……、もうヘトヘトなんだけどー。……お腹空いたし」
「なんか作るから待ってて」
他人の目を気にする私が唯一気を抜ける場所だった。
💚🌸
「しゆん……、」
いつも名前を呼んで振り返れば、こっちにカメラを向けてたりする。
「ちょっ、また勝手に撮って……っ!!」
「えー。いいじゃん減らないし」
「ギガファイル減ってんだよ……!!てか、撮るならふたりで取ればいいでしょ……!!」
あのころ私、全然素直じゃなかったね。
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える - あ、大好きな予感… (3月18日 21時) (レス) @page1 id: bc7069de6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Stellar | 作成日時:2024年3月18日 19時