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彼女の新たな交友関係に口出しするつもりはないが、突然でてきた『センパイ』とやらにやたら警戒してしまう。
「うん、……その。ちょっと話聞いてもらって……」
「へぇ? ……俺じゃダメだったんだ」
「なっ、だって。……詳しい人だったから」
何に、とは言わないあたりあまり踏み込んではいけない内容なのだろう。
「……詳しい人、」
「……。ね、そまちゃ。この赤のボックスと青のボックスだったらどっちがいいと思う?」
彼女が握ったハート型のラッピングボックス。
好みを聞かれてもわからない。
「黄色」
「え」
「黄色がいい」
「もう。無い色いわないでよ」
困ったように呟く彼女。
なんでその色を呟いたのか自分でも分からないが、何となく。彼女が他の色に染まってしまうのが嫌だった。
「いっ────、」
「そまちゃ、大丈夫?」
「あー、いや、うん」
「……、ごめんね。今日はもう帰ろっか。遅いと心配されちゃうし、」
あぁ、情けないな。
自分の不甲斐なさに腹が立つ。
たかがチョコレートの季節に動揺してしまった。
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作者名:Stellar | 作成日時:2024年3月4日 22時