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ずっと知っていて、ずっとずっと隠し続けていてくれた彼女には感謝している。
言うタイミングなんていくらでもあったのにこの家はいつだって同じニンゲンのように俺を扱ってくれていた。
「……直せる方法があるんだって」
「!」
「ごめん、昨日Aのスマホ借りて調べちゃった」
「っ、やだ……!!!」
彼女の大声が響く。
ああ、このことも彼女にバレていたんだと思うと少し恥ずかしくなる。きっと、このニンゲンごっこのコイは本物から見ると丸わかりだったのだろう。
「聞きたくない……!!!やだよ……!!!」
「でも。このまま想いが強くなればいずれ俺は壊れる」
ギュッと彼女の手を握りしめる。
大粒の涙を流す彼女の雫を払う度、ムネの辺りに電流が走った。
もう……、長くはもたない。
「それなら、最後に俺の気持ちを聞いて?」
「やだ……っ、やだよ……っ」
「お願いだよ」
自分でもずるい声が出た。
アンドロイドに芽生えることの無いカンジョウが生まれた。それ自体はとても喜ばしいことだと思ってる。
この気持ちを伝えないまま、壊れて終わってしまうのは嫌だった。
ただのオモチャのわがままだ。
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作者名:Stellar | 作成日時:2024年3月4日 22時