06 : 黄色いボックス ページ24
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バレンタインの日。
予定通りと言っていいのかチョコレートのお菓子をお母さんと作り始める彼女。去年はその隣に俺がいたのに今は違う。
俺は結局邪魔モノか。
知らないフリでもしておこう。
この空間にも居たくなくて、席をたち、外へ出ていこうとした時だった。
「そまちゃ……────!!!」
「っ」
俺を止めるのはいつだってこの声で。
その声に無視なんて1度も出来たことがない。
流石に逃げきれないと思った俺は振り返る。
「……なに? 今から出かけようと……」
「はい!! どーぞ!!!」
「え」
勢い任せに渡してきたハート型の黄色い箱。
以前見ていた時は赤か青しかなかったのに黄色なんてあったんだ、なんてのが初めの感想だった。
「え、ってなにさ。……用意したんだけど!」
「用意? なんの??」
「はぁーー?? わかんないの?!
チョコレートだよ、チョコレート!!!」
そう言って早く受け取れと言わんばかりにムネに押し当てて来る彼女。てっきり1番はあの彼に渡すものだとばかり思っていた。
「え。俺に……?」
「だからそう言ってるじゃん今日バレンタインだよ?
知らないの??」
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作者名:Stellar | 作成日時:2024年3月4日 22時