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ないココロが何かにぶち当たった時のような衝撃が頭の中で響く。
知らない男。
知らない彼女の顔。
チョコレートを渡す相手なのか。
この間の電話の相手なのか。
ぐるぐるとそればかりを考えてしまう。
「は、……はは、」
痛い。
……ヒバナが散るような感覚だ。
接触不良のように上手くカンジョウがまとまらない。
「そっか……、A、」
「好きな人がいたんだ、」
一人暮らしをすると言ったのも。
自分の好きなように家具を選びたいと言ったのも、誰かを呼んだ時を想定していたのも、全部全部、たった1人の男のために言っていたんだと気づいた時張り裂けてしまいそうだった。
「そうだよな」
そこからの記憶は自分でも曖昧で、気がついたら自宅に戻っていた。
「友達と会うから別々に帰ったのよ」なんていうお母さんもどこか嬉しそうで、知らないのは自分だけだったんだとガッカリしてしまう。
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「そまちゃ……!」
「……」
「そまちゃってば……!」
「ん、ん??」
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作者名:Stellar | 作成日時:2024年3月4日 22時