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布団を引っ張ってみるもののなかなか出てこない彼女。
そんな小さい体でどこから力が出てくるんだと問いかけたいほど強い力だ。
「んー……、まぶ、し」
「これくらいどおってことないだろ……!」
「さむーい……」
「全然寒くない……! 今日は昨日より暖かいから……!
大丈夫……!」
「……」
じーっと布団の隙間から顔を覗かせる彼女。
まだ化粧もしていないその瞳は眠たそうでいつも見ている姿より小さくて、つぶらな瞳だ。
「なに? 朝だよ」
「もうちょっとだけ」
「え、もうちょっとだけ??」
「お願い」
言うだけ言って布団の中に再び潜り込ん出しまう。
無意識なのか、計算なのかは分からないが、可愛い声で聞こえてきたお願いが頭を悩ませる。
まったく、……こんなお願いの仕方どこで覚えてくるんだか……。
自分好みのお願いの仕方に一瞬心を許してしまいそうになった。そのお願いを聞いてあげたいのは山々だが、苦しむのは俺ではなく彼女だ。
心を鬼にして再度彼女を起こす。
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作者名:Stellar | 作成日時:2024年3月4日 22時