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「まー、でも。……ずっと、Aのそばにいるよ」
「……っ、うん」
「わっ、とと……」
急に抱きしめられてしまい、よしよしと背中を撫でる。
甘えん坊なところは小さい頃から変わって居ないようだ。
「……一人暮らししたら、これも出来なくなるよ」
「……じゃあ、今だけ……、」
泣いてしまいそうなほど、小さな声がぽつりと落ちた。
「……今だけ、お願い」
昼間は子供らしく見えていた彼女が夜の女性の顔をする。それがなんだかずるくて、……他のオトコの影が見えたような気がして、心の底は居心地が悪かった。
「うん、……今だけね」
でも、彼女が俺を望むなら。
望めるだけの事は返してあげたい。
この子は凄く寂しがり屋だから。
「っ、ありがとう、そまちゃ、」
「1人になったら、……ちゃんと。
俺以外のヒトを見つけなくちゃだめだよ」
自分で言っていて、ムネが締め付けられる。
ココ最近ずっとそうだ。
彼女の事を思えば思う度、電流が流れるような音がする。
「うん、」
彼女の声に、出ない涙が溢れそうだった。
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作者名:Stellar | 作成日時:2024年3月4日 22時