無口な女優のそれから？それから？〜第5章〜

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　(黒野)萌歌は特に私が演技にのめり込んで帰って来れなかった時とかに特に助けてくれたりもして。

　(上白石)3年A組の時でしたよね？

　(黒野)そうそう。3年A組の時。その前も一度役に入りすぎちゃって長くて1週間くらい引きずっちゃったりもして。その時も萌歌が連れ戻してくれて。

　(上白石)あの時のA、誰も近づけないような雰囲気？だったもんね。

　(黒野)結構暗い役が多いから、そんなこと毎回起こってたらよくないのはわかっているんですけどね。

　(上白石)メソッド演技法かな？

　(黒野)そう…ですね。この仕事を始めた？オーディションで事務所に入った当時はあんまり演技との距離感を掴めてなくて。酷い時は何か刺されて苦しんでる演技なのに本当に苦しくてその後倒れてしまったりもしたり。でも最近は多分大丈夫。多分ね。

　(上白石)多分か(笑)。今使ってる曲は歌詞から書いたって言ってましたけど…難しかったですか？

　(黒野)文章は書くのは苦ではなかったので大丈夫だったんですが、作曲自体は初めてだったっていうのと、萌歌にはこういうような曲を歌ってほしいという。本当に出来るのだろうか？いややるしかない。っていうせめぎ合いが凄かったです。

　(上白石)すごい悩んでたよね。

　(黒野)そう、だね。あと歌詞も萌歌が歌う曲って儚さと孤独とそれに縋れる愛と希望が伝わってくるような曲が多いし、それが萌歌に合うのはわかってて。それらを萌歌が歌うことでその時の空気感も聞いてる私達が体感できて。そこが本当に彼女のすごい素敵なところなんですけど。

　(上白石)すごい嬉しいです。そんなに思ってくれてたなんて(笑)。

　(黒野) そこに私が入れられるのは何だろうかって考えた時に、ほんの少しの希望も見出せないくらいの絶望とか、飴玉みたいに可愛くて甘いポップな感じとか。萌歌に合わなそうだけど萌歌が、adieuが歌ってしっくりくるような曲を作りました。

　(上白石)でも最初歌詞と音楽聞かせてもらった時すごいな、と思いました。メロディーラインとかギターとか色々楽器使ってましたよね？

　(黒野)今回色々試してみようと思って、ドラムは前練習してちょっとアレンジ程度につけることは出来るけれど、その他の楽器はアコギくらしいか弾けなかったので近くの楽器屋に入り浸って色々聞いたり弾いて練習してました。

　(上白石)本当に努力家ですよね。本当にすごい。



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