第二話 ページ4
「どろちゃん」
「なぁに」
「これから一年間、よろしくね!」
「あ、うん!よろしくね!」
ちゃんと笑えていたかな?
どろちゃんって呼ばれると、やっぱりしっくりこない。
でも、みんな私の名字以外覚えていないだろう。
「Aちゃん!」
滅多に呼ばれない名前が、男の子にしては可愛いすぎる声で呼ばれた気がした。
やだなぁ、私。
空耳かな?
私に都合のいい幻聴が聞こえてるのかな?
「ねえねえ、Aちゃんってば!」
「えっ!?」
がっと後ろから腕を掴まれる。
いや、誰!?
怖いんだけど!
これ振り向いたら幽霊だったってことはないよね!?
「は、放して下さい!何で私の名前知ってるんですか!?」
ぎゅっと目をつぶって叫ぶ。
ここ、学校だよね!?
なんで不審者がいるの?
「ゆうさんだよ?ゆうさんのこと忘れちゃったの?え、忘れたわけないよね?ね?」
恐る恐る目を開けたとたん、頬が温かい何かに包まれる。
大きな……手?
ちょっとごつごつしてるけど、やわらかくて、甘いけど爽やかないい香り……
ん?
この香りどこかで…
少し気になって、目を開けてみる。
「ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆうくん!?」
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くに
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