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  「うざい、お前。」

  「ぅ、・・・」


  ずっと笑っている私の頬を引っ張って
  口を尖らせながらそう言うばぁうくん。

  でも、尖っていたばぁうくんの口は
  すぐに綺麗な曲線を描いて笑顔に変わる。








  「でも好き。その顔。」

  「っ、ばぁうくん?」

  「ん〜?」

 
  甘い声で、好きと言われた後、
  私の体はまたばぁうくんに抱きしめられた。

  ばぁうくんのよく分からない
  情緒不安定さについていけずにいると、
  彼は耳元で優しくゆっくりと話し始めた。









  「最近さ・・・仕事忙しかったじゃん、A。」

  「うん、そうだね。」

  「だから・・・」

  「・・・」

  「だからね・・・」


  なかなか、次の言葉を切り出さない
  そんなばぁうくんの背中を
  トントンとしながら相槌を打つと。

  それに甘えるように
  首筋に顔を埋めてきた。







  「ばぁうくん、?」

  「寂しかった・・・」

  「えっ?」

  「Aを、これ以上疲れさせたくないって思って、」

  「うん、」

  「キスとかそれ以上のこととかずっと我慢してた。」



  そんなの、そんなの知らなかった。
 
  確かに思い返せば、
  ここ最近ずっとそういうことをしていない。
  それは、仕事尽くしの私を休ませる為だったの?










  「でも、誕生日ぐらいは一緒にいたくて・・・」

  「ばぁうくん・・・」

  「お前に酷いこと言った。我儘なこと言った。」

  「っ、」

  「ごめんね。」

 

  私の背中に回している手も
  耳元で聞こえる声も震えてる。

  私のせいで、
  ばぁうくんはこんなに悩んでたんだ。
  昨日はただ、それが爆発してしまっただけ。










  「私の方こそ、ごめんなさい。」

  「え?」

  「実は・・・今の職場にちょっと厄介な先輩がいて」

  「もしかしてさっきの男?」

  「ううん、ちがう人・・・」

  「ぁ、うん、それで?」

  「それで、最近仕事押し付けられること多くて」

  「・・・・・・」

  「仕事ばっかりに気取られて・・・」



  ばぁうくんとの時間、作れなかった。
  ごめんなさい。


 

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作者名:tno.. | 作成日時:2024年3月13日 22時

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