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「ばぁうくんっ、はやい」
「･･･」
「ねぇ。ねぇ、ってば、」
先輩の元を離れても
スタスタと早歩きなのは変わらず
手を引かれるがまま家に向かう。
「ばぁうく･･･んっ、！」
無事に家につき、今度こそ
しっかり話を聞いてくれると思った。
それなのに、
玄関に入った瞬間塞がれた口。
「ちょっ･･･はぁ、」
「黙れよお前。」
今は話すな、とでも言いたげに
どんどん舌を絡ませてくる。
それが数分続いたのち、
やっと話ができるようになった。
「ばぁうくん、なんで･･･」
「仕事だっていうから迎え行ったのに」
「え、？」
「なんで男に絡まれんの。」
絡まれたらすぐ逃げろって散々言ってんのに。
うっざ。
そう言われてまたキスの嵐が降ってくる。
乱暴なのに気持ちがいい。
ただ･･･
「ばぁうくん、だ、って･･･」
「あ？俺がなに、」
息を吸うタイミングで
頑張って言葉を繋げる。
「朝、女の人と一緒にいた･･･」
「お前･･･見てたの？」
「だからっ、人のこと言えないと思い、ます･･･。」
「はぁ。」
壁に押さえつけていた私の体を解放して、
ため息をつきながら
一歩後ろに下がったばぁうくん。
そして、ばぁうくんの口から
放たれた一言は衝撃的だった。
「それ、俺の姉貴。」
「･･････え？」
「俺の誕生日だからだってさ。」
ばぁうくんは、玄関の靴箱の隣に
そっと置いてある紙袋を指さして
気だるそうに言う。
「誕生日プレゼント、渡しに来たの？」
「そ。東京観光ついでに渡しに来たよ〜とかなんとか。」
まあ･･･ついでなのかよって思ったけど･･･と。
ちょっぴり哀しそうに
そう付け加えるばぁうくんが可愛くて
つい声に出して笑ってしまう。
「ふふっ」
「っ、お前、なんで笑ってんだよ。」
「いや、ばぁうくん、可愛いなぁって･･･ふふ」
「っ･･･」
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作者名：tno.. | 作成日時：2024年3月13日 22時
