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 「確か、彼の誕生日今日でしょ?」

 「まぁ、そうなんですけど・・・」

 「なに。もしかして喧嘩でもした?」


  相変わらず勘が鋭い。








 「ははっ、やっぱり!」

 「なんで分かるんですか?」

 「Aの顔見れば分かるよ、」


  何年一緒に仕事してきたと思ってんのぉ?
  と顔を覗き込んでくる先輩。









 「今日、飯でも行く?」

 「えっ?」

 「彼氏の愚痴、いっぱい聞いてあげるよ。」


  そして先輩の顔が徐々に近づいてくる。
  これってもしかして・・・と
  危機感を覚えた瞬間だった。


 








 「人の女に手出してんじゃねーよ。」


  後ろから腕を引っ張られて
  ふわっと抱きしめられた。

  匂いからして
  それが誰かなんて一発で分かった。

  いま、1番会いたくて会いたくなかった人。









 「ばぁうくんっ・・・」

 「先輩、結婚してますよね?」

 「お、Aの彼氏くん?案外頭いいねぇ。」

 「手。よく見たら結婚指輪してたんで。」

 「あぁ、これね。」


  ばぁうくんの手によって
  頭を肩に押さえつけられているから。

  先輩の顔は勿論、
  ばぁうくんの顔も見えないんだけど、

  昨日なんかと比べ物にならないほど怒ってる、
  冷たい声からそれが分かる。











 「欲求不満なんすか?」

 「うーん、まあ、A可愛いし?」

 「は?」

 「2番目のオンナにしてはいいオンナだなぁ的な?」

 「っ」


  正真正銘の浮気男の発言に、
  苛立ちを抑えられないんだろう。

  私の頭を抱えているばぁうくんの手に
  ぐっと強い力がこもるのが分かった。
 
 







 「ね、同じ男なら分かってくれるでしょ?」

 「・・・」

 「いいオンナ見るとヤリたくなるこの感覚。」

 「なぁ。」

 「んー?なに?彼氏くん。」

 「俺の1番を2番にするとか、あり得ないから。」


  ばぁうくんの、
  いつもより低く冷たい声と発言に
  先輩はすっと黙りこんだけど。

  私の胸はドキッと高まった。











 「A。」

 「ばぁうく、ん・・・」

 「帰ろ?」


  抱きしめていた私を離して
  しっかりと顔を見つめて言ってくれるばぁうくん。

  その顔も声も、
  甘くて優しくて暖かかった。










 「手かして?」

 「うん・・・」

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作者名:tno.. | 作成日時:2024年3月13日 22時

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