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「あ、あのね、ばぁうくん。」
「ん?」
「実は私・・・また仕事入っちゃって」
「・・・いつ?」
「えっ、と・・・今日。」
は?こいつ何言ってんの。
俺の誕生日に仕事入れるとか
まじであり得ない。
「今日はさ・・・デートするって約束してたよね?」
「ぁ・・・」
「お店、もう予約してあるんだけど。」
数日前に約束したばっかなのに。
こいつ忘れてんの?
「ばぁうくん、今年も配信するの?」
「配信?」
「うん、お誕生日までのカウントダウン配信とか・・・」
「あぁーうん、する予定だけど。」
「そう、だよね・・・」
「なに、寂しい?」
「いやっ、まぁ・・・ぅん。」
やっぱり私が1番にお祝いしたかったなぁって。
思っただけ、です・・・。
そう言う彼女の顔を見ると
可哀想に見えて申し訳なくなったけど
その反面、ものすごく愛おしいとも思った。
「じゃあ・・・デートしよっか。」
「えっ?」
「3月7日、俺とデートしよ。」
お前が最近、
仕事で忙しくしていたのは分かってたよ。
そのせいで俺らの時間も減ってたんだから。
だからせめて、
誕生日ぐらいは・・・って思って
デートに誘ったっつーのに。
「ごめんね。でも急遽仕事が入っちゃって・・・っ」
フツーに仕事入れるって・・・。
俺の誕生日はお前の中でその程度なんだな。
そう思った。
でも、いざ家を飛び出して
外の空気を吸ってみると
やっぱり頭は冷えてくるもの。
お人好しの性格の彼女だから
無理に仕事を押し付けられてそうなったんだろ。
そういう答えに辿り着いた。
「俺・・・言いすぎた・・・」
彼女の仕事に理解ありの
余裕感満載の大人彼氏だったら
こんなことにならなかっただろーななんて
自己嫌悪に陥ってしまうのも
結局自分のせい。
「・・・・・・あーあ、イライラする。」
誕生日おめでとうございます。
そう書いてくれているリスナーの投稿を見ても
自分への苛立ちが募ることは変わらず。
思うことはただひとつ。
Aに、祝ってもらいたかったな。
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作者名:tno.. | 作成日時:2024年3月13日 22時