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:❤️| 3月7日 ページ1

♦︎








 「今日はさ・・・デートするって約束してたよね?」

 「ぁ・・・」

 「お店、もう予約してあるんだけど。」




  ・・・ばぁうくんの顔が怖い。
  これは完全に怒っている時の顔だ。








 「ごめんね。でも急遽仕事が入っちゃって・・・っ」

 「あのさぁ」

 「・・・はい」

 「お店を予約するのもキャンセルするのも、」

 「ばぁうく、」

 「いつも俺なの分かってる?なぁ」


 
  ばぁうくんに掴まれた肩が痛い。
  でもそれより、ばぁうくんが哀しそうな顔で
  そう私に訴えているという事実が、1番苦しい。









 「本当にごめんなさいっ」

 「最近そういう感じだよねぇお前。」
 「急遽仕事が入ったからってデートドタキャンしたり」
 
 「ねぇ、ばぁうくんっ、ごめん」

 「される側の俺の気持ち・・・少しは考えろよッ」


  バタンッと玄関の扉が閉まる音。
  私の必死な謝罪はなんの意味もなく、
  ばぁうくんは家を出て行ってしまった。











 「っ・・・・・・、ぅ・・・・・・」


  ばぁうくんに見えないように
  背中に隠していた小さな箱を前に持ってきて
  それを見つめれば大量の涙が溢れてくる。







  大好きな彼への誕生日プレゼント。

  ばぁうくんの配信が終わったらあげよう。
  そう思って渡しに来たのにこの有様。

 










  この出来事が起こる数分前。
  ばぁうくんの配信が終わるのを待っていると
  一本の電話が入ってきた。


  「はい、もしもし。」









  その要件は
  明日急遽仕事に入らないかというお願い。


  「えっと・・・明日は大事な用がありまして・・・」

  「そこをなんとか頼むよぉ、ね?」

  「でもっ」

  「じゃ、お願いね。」

  「あ、ちょっと!・・・って・・・切れたし」








  仕事先の先輩は少し厄介で
  何事も断りにくい私に仕事を押し付けてくる。
  そんなタイプの人だった。

  でも、それがきついことを
  ばぁうくんに相談していなかった私。








 「ばぁうくん?入るね・・・」

 「あっ、ごめんね待たせちゃって。」

 「ううん、お誕生日の配信・・・無事に終わった?」

 「うん。大成功。」


  だって、

  幸せだったぁと笑う彼の顔を見ると
  仕事も頑張りたくなるんだもん。

  だから、今回も。

♦︎→



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作者名:tno.. | 作成日時:2024年3月13日 22時

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